東京国立近代美術館 MOMATコレクション
特集:春らんまんの日本画まつり
スペース/3 F No.9 渡辺克巳 “流しの写真屋” が見た新宿
期 間/2016.03.08 - 05.15
東京国立近代美術館に2014年に収蔵された渡辺克巳の写真が展示されています。
9室 渡辺克巳 「流しの写真屋」 の見た新宿

渡辺克巳《ゲイボーイ、新宿》1967年
渡辺克巳は、1960年代後半から70年代初頭の新宿で、「流しの写真屋」を生業としていました。夜の盛り場をまわってポートレイトを撮影し、翌日焼き付けた写真を届けて代金をもらう仕事です。
現在の新宿駅は一日の乗降客300万人以上という、世界一の巨大ターミナルです。その発展の始まりは郊外と都心を結ぶ私鉄が乗り入れ始めた大正期にさかのぼり、戦後の闇市を経て、駅周辺は百貨店や飲食店、映画館などが集積する日本最大の繁華街・歓楽街へと成長していきます。60年代に出現したジャズ喫茶やアングラ演劇などは、とりわけ若者たちを新宿へと引き寄せました。渡辺の写真には、そうした時代の新宿の熱気と陰影が捉えられています。
「新宿は巨大なマーケットであり、業種も変化に富んでいて、なぜだか、どんな格好をして歩いていても新宿の風景になじんでしまう。ゴミでさえ、ちゃんと居場所を主張していた。」のちにこう記した渡辺は、安価なカメラの普及により「流しの写真屋」を廃業した後も、この新宿という独特のエネルギーに満ちた空間を、生涯撮影し続けました。
東京国立近代美術館の案内より抜粋