WATANABE KATSUMI

2011年11月02日

渡辺克巳 写真展U「1982 印度」

  U
1 9 8 2    度」  直土ヒタツチ胎内
2011/09/23 - 10/30

10月15日(土)はトークイベントのため、ギャラリーは17:45に閉廊させていただきます。
art-Link 上野−谷中 2011」  / 芸工展 2011<参加企画展>

直皮膚(
はだ)に吸い込まれる 大気  
滔々と沁み染まる 命の泥土
足裏から脳天へ迸る 聖なる濁水

「タイムトンネルくぐって本当に中世に出たみたいな。カルカッタから離れるにしたがって段々中世的なものがそのまま出てくるんですよ」(渡辺)

中世の世界がそのまま眼前に混在するインドの日常を、流しの写真屋渡辺克巳が新宿と同じ目線で捉えた、ストレートで極めてオーソドックスなモノクロ写真に写りこんだものは‥
「空気は空気としてちゃんとあるのか 太陽は太陽としてちゃんとあるのか 木は木としてちゃんとあるのか」(渡辺)
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print渡辺克巳「1982 印度」

1960
年代〜70年中頃まで流しの写真屋として、新宿のトルコ嬢・ヌードスタジオ嬢・オカマ・ヤクザ・ホステス・浮浪者を、路上のゴミがあろうと傾きかけた看板があろうと、場末の背景はそのままに撮っていた渡辺克巳は、お客さんに「何だおまえ、こんなきったない所をバックにして撮って」と云われても、「いやいや、これは絶対いい。後でいい思い出になりますよ」 「あんたは<ここ>に立ってたんですよ」と云って撮っていました。

インドでも新宿と同じように「あんたはここに立ってたんですよ」と云いながら撮っていたかのような、今回の初公開となるオリジナルプリント80点は、路上に捨てられた残飯や泥水上での寝食、草を食む聖牛、物乞いをする賎民、悠として立つ大木などが混在する、その混在そのものをインドの日常として切りとった、ストレートで極めてオーソドックスなモノクロ写真となっており、渡辺克巳が混然としたままの<ここ>を印画紙に封じ込めば封じ込めるほど、はかり知れない大きなインドに呑み込まれたような、圧倒的な実在感をもってこちら側へ迫ってきます。

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「ベナレスで見ていると上の方で洗濯しているのね、その水が流れてくるじゃない、それに浄水槽から泥水みたいのがドロドロと出て来る、その下の方で御神水として飲んでいるわけ。分かんないねあれは。病気の人も一緒に入るんだよね。上から死体が流れてきたりね、死んだ人も河っ淵で荼毘にふすわけですね、だからあそこにいて見あきないね。全部あるわけですよ。
輪廻なんていっているのがさ、目の前で全部見えちゃうわけですよ。
インドへ行くと神様が、それはいわゆる偶像とかなんかじゃなくて、まず空気は空気としてちゃんとあるのか、太陽は太陽としてちゃんとあるのか、木は木としてちゃんとあるのか、それがちゃんと見える。それはやはり神々という感じがするのね。日差しがもの凄く強いと、でっかい木があって日陰をちゃんと作ってくれる。
すると、その日陰そのものが神様みたいに見えてくる。
暑い時に日陰に入ると涼しい風がスッときて、そこで賤民みたいな人たちが涼んでいるとね、人知じゃなくて、大きな何かに助けられて生きているみたいなところがあって、そういうのが神様じゃないかと思う実感があるのね。

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日本で泣くような事があってもインドを見てしまえば、なんだ泣く事ないじゃないかという気がするわけですよ。
それはなんていうんだろうね。幅が広いんですね。新宿しか知らなければ、大変な所だなと思って見ていたんですが、インドへ行ったら百倍の人間の幅がある。それが自然の一つとして調和して生きているんですね」

「新宿、インド、新宿」ポット出版より (初出 1985 「流行写真」三和出版)

 
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トークイベントのご案内    終了しました      
1015日(土)、「渡辺克巳 1982 印度」のトークイベントが開催されます。           

金子隆一氏(東京都写真美術館増田玲氏(東京国立近代美術館)というお二人のセッションは今回初めてとなります。           
渡辺克巳は「流しの写真屋」として「新宿のワタナベ」のイメージが定着していますが、場をインドへと移してもその目線は新宿に在ったそれと、一切ぶれることはありませんでした。           
生前の若い頃の渡辺克巳をよく知る金子氏と、渡辺克巳の写真に興味を持つ増田氏による対談は、新宿・インド、そして時をも越えて人々に切実な思いを伝える魅了してやまない「渡辺克巳の写真」に迫ります。           
写真をやっている方、これからやろうと思っている方、もう既に充分に写真作家として成しえている方、たまには初心に戻りたい方、『銀塩』という言葉を聞くと居てもたってもいられなくなる方、などなど年齢、性別、国籍全て問いません。  
生前、渡辺克巳は「写真は手にとって見るのが一番いい」と語っていました。
今回、オリジナルプリント(インド/新宿 31.7×26cm)を会場で手にとって見ていただきながらのトークイベントとさせて頂きます。
どうぞ、こぞってご参加下さい!
(注:1015日は1745に閉廊いたします)
日時・MAP・詳細
 

<トークイベント参加者のご感想です>
渡辺克己トークイベント、興味深い話が沢山聞くことが出来て楽しかった。しかも、貴重なオリジナルプリントを何枚も手で持って見る事が出来た。なんと贅沢な。さらに、プライベートで鈴木理策さんが来てて驚いた。昨夜の谷中のお寺での出来事は、ギャラリーオーナーの熱い思いがあったからこそだ。
<sekka>
雨の中お越しいただいた方々、ありがとうございました。
ゲストの金子氏と増田氏にも感謝いたします。
また、会場を二つ返事でお貸しいただいた、本妙院のシャイなご住職にも感謝いたします。
根津に越す前の青山辺りでは、お寺さんを開放していただく事など想像もつきませんでした。
寺町谷中の夜の静寂は、都会の真ん中にいるとは思えないほどで、ああいう空間での座談会形式のトークセッションはちょっと心に沁みました。
故渡辺克巳さんと皆様、あらためて本当にありがとうございました。             九拝

金子隆一 東京都写真美術館専門調査員
増田 玲 東京国立近代美術館主任研究員 
日時:1015
()  1830
於:本妙院 台東区谷中4--11
(sekkaより徒歩2分 日本美術院並び)
参加費:1,500

人数:
30(事前予約制)
tel
03-5815-8280
email
info@sekka-jp.com
print渡辺克巳 1982 印度.pdf
<掲載『アサヒカメラ』10月号「写真展ガイド」欄>


渡辺克巳 写真展U1982 印度」のトークイベントのゲスト、金子隆一氏(東京都写真美術館専門調査員)と増田玲氏(東京国立近代美術館主任研究員)の美術館での写真展のご紹介。

東京都写真美術館
山直哉展 Natural Stories
101()124()

東京国立近代美術館
レオ・ルビンファイン 「傷ついた街」
8月12()1023()





posted by 汐花 SEKKA BORDERLESS SPACE at 00:00| Comment(0) | 渡辺克巳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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